誰も得しない日本史

誰も得しません

教科書改訂と入試のトレンド 第3回

以下、2018年4月6日記事(引っ越し分)

 

シリーズのコンセプトは、第1回をご参照ください。

www.daremotokushinai.com

 

今回は、教科書の第2章の第1節、
「飛鳥の朝廷」です。

Tommy: “Imokish women are called ‘Imojo’ as well as women with science background are called ‘Rikejo’.”
Date: “No way!” ”No one’s saying that!!”

(訳)
「理科系の女子が「リケジョ」とよばれるように、小野妹子っぽい女子は「イモジョ」とよばれます。」
「言わねーよ!誰もそんなこと言ってねーよ!」
ツッコミはサンドウィッチマン風に。
 

【主な変更箇所】
1. 加耶についての説明を、脚注として追加。
2. 「仏教の受容に積極的な蘇我馬子と反対する物部守屋」
から
「先進文化とともに仏教の受容に積極的な蘇我氏と、伝統を重んじて反対する物部氏・中臣氏」に。
3. 「冠位十二階は個人に対し冠位をあたえる」
から
「冠位十二階は氏族でなく個人の才能・功績に対し冠位を与える」に。
4. 「中国との外交も再開され、607年には遣隋使として小野妹子が」
から
「中国との外交も遣隋使の派遣により再開され、<ins>『隋書』にみえる600年の派遣に続けて</ins>607年には遣隋使として小野妹子が」に。
5. 飛鳥文化の法隆寺金堂釈迦三尊像、法隆寺百済観音像、法隆寺玉虫厨子、および中宮寺半跏思惟像が口絵から本文の挿絵に変わり、それぞれに詳細な解説がついた。
6. 「仏像彫刻では、鞍作鳥の作といわれる法隆寺金堂釈迦三尊像のように、中国の南北朝の様式を受容している」
から
「仏像彫刻では、鞍作鳥の作といわれる<ins>金銅像の</ins>法隆寺金堂釈迦三尊像のように、<ins>整ったきびしい表情の</ins>中国の南北朝の<ins>北魏様式</ins>を受容している<ins>もののほか、やわらかい表情の中宮寺半跏思惟像・法隆寺百済観音像などの木像がある</ins>」に。

目立つのは、リストの4と6です。
(4)
600年の遣隋使は、中国側の歴史書である『隋書』には記述があるが、日本側の記録である『日本書紀』には載っていないなどの理由で、かつては評価が定まっていませんでした。『隋書』が607年の遣隋使と混同したのでは、という説などもあったのです。
現在では、600年の遣隋使の存在は認める流れになっているので、教科書にもはっきりと記載されるようになったと考えられます。
受験的には、
<strong>600年:最初の遣隋使(『隋書』のみ)
607年:小野妹子が煬帝に対等外交を主張→翌年裴世清来日</strong>
608年:小野妹子再派遣(<strong>高向玄理・僧旻・南淵請安</strong>はこのとき)
614年:犬上御田鍬派遣
と整理しましょう。
センター試験なら太字まで、私立ならその他も覚えておきます。

(6)
飛鳥文化は南北朝文化の影響を受けた、とはいっても、南北というからには北魏と南梁をきちんと区別しておこうぜ、
ということで、それぞれの仏像が北魏様式なのか南梁様式なのかというところまで、教科書に記載されるようになりました。半跏思惟像と百済観音像が南梁様式です。
受験生にとっては、単純に暗記項目が増えたということですね。実は、ここ30~40年で、教科書の索引語数は倍加してきました。今の受験生の負担は昔の受験生よりも重いんです。
こういった暗記項目の増加傾向がどうなるのか、ということが、次に指導要領や教科書が改訂されるときの大注目ポイントですね。
 
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