誰も得しない日本史

誰も得しません

教科書改訂と入試のトレンド 第5回

以下、2018年4月18日(引っ越し分)

 

シリーズのコンセプトは、第1回をご参照ください。

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今回は、教科書の第2章の第4節、
「天平文化」です。

【主な変更箇所】
1. 項のタイトルが、「『古事記』『日本書紀』と『万葉集』」から「国史編纂と『万葉集』」に。
2. 「政府による統治の由来や、国家の形成・発展の経過を示すために、国史の編纂がおこなわれるようになった。」から「政府の立場から統治の由来や、国家の形成・発展の経過を示すために、中国にならって国史の編纂がおこなわれるようになった。」に。
3. 『古事記』の記述に関する脚注が、「創世の神々と国生みをはじめとして、天孫降臨、神武天皇の東征、日本武尊の地方制圧などの物語で、そのまま史実とはいえない記述がある。」から「神話は、創世の神々と国生みをはじめとして、天孫降臨、神武天皇の「東征」、日本武尊の地方制圧などの物語が律令国家の立場から編まれており、そのまま史実とはいえない。」に。
4. 『日本書紀』に対する説明の「神話・伝承や「帝紀」「旧辞」などを含めて、神代から持統天皇に至るまでの歴史を天皇中心に記している」の部分が、脚注から本文に。
5. 「『万葉集』は……宮廷の歌人だけでなく東国の民衆……」から「『万葉集』は……宮廷の歌人や貴族だけでなく東国の民衆……」に。
6. 「法相宗の義淵は多くの門下を育て」から「法相宗の義淵は玄昉・行基ら多くの門下を育て」に。
7. 「道慈・行基らがさまざまな事業に活躍した」から「入唐して三論宗を伝えた道慈も大安寺建立などの事業に活躍した」に。
8. 脚注の「『論語』『孝経』などの儒教の経典を学ぶ明経道」が「五経(易経・尚書・詩経・春秋・礼記)などの儒教の経典を学ぶ明経道」に。
9. 「執金剛神像などがまとまって伝わっている」から「執金剛神像など天平仏がまとまって伝わってきた」に。
10. 「螺鈿紫檀五絃琵琶など」から「螺鈿紫檀五絃琵琶・漆胡瓶・白瑠璃碗など」に。

リストの2・3にあるように、
国家が編纂した歴史書には、国家の立場が反映されている点が強調されています。
リスト8の変更ですが、
明経道で大学を卒業する時の試験(明経試)では、「礼記」や「春秋」などは選択科目で、「論語」と「孝経」は必修科目でした。これに合格すると明経博士になれます。
教科書の記述がなぜ変更されたのかは、ちょっと分かりません。どなたかご存知の方がいらっしゃったら、ご教示していただけると助かります。
 
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Youtube版「のぶたの誰も得しない日本史 」