誰も得しない日本史

誰も得しません

共通テスト難易度考察 H29試行調査04

H29試行調査の問題文はこちら(32Mと重いです)

大学入試センター

 

このシリーズの基本コンセプトは、こちらをご参照ください。

www.daremotokushinai.com

 

解答番号4

戦国時代の堺についての生徒の報告と、ベニスの執政官の資料を読んで、堺の町の運営を図式化します。

 

〔解答番号4〕の選択肢は、以下のとおりです。

(選択肢が図であるため、省略)

 

〔解答番号4〕を解くための最短手順は、次のようになります。

①ベニス市の資料の大意を読み取る

②選択肢の図式を理解して、一番近いものを選ぶ

 

生徒の報告に会合衆は執政官のようなものとあるので、選択肢の大名がベニス市の資料の「命令者」にあたることが分かります。資料に、都市を治めるのは命令者ではなく執政官であるとあるので、堺なら会合衆以下の町の人々が大名から自立している選択肢に絞ることになります。③と④です。そして、ベニス市の執政官が市民の代表であり、執政官の支配欲が抑えられていることから、堺なら会合衆は町衆の代表であることが分かります。こうして、正答が③であることを導き出せます。

 

資料の読み取りではなく、『一問一答』の知識からせまっていくと、どうなるでしょうか。まず、「堺」も「会合衆」も基本用語に属しています。『一問一答』の「堺」を問う文章に、「自治組織を持っていた都市」とありますので、堺が大名から自立していたことは知識から導き出せます。よって、選択肢を③と④に絞ることができます。ところが、『一問一答』の「会合衆」を問う文章には、「ベニス市の如く執政官にて治めらる」「都市の自治を指導した36人の豪商」とあるのみなので、会合衆が町衆の代表であるとする③と、会合衆は町衆を支配しているとする④の、どちらがより適切なのかは分かりません。知識だけでは、この問題の期待値は0.5問にとどまることになります。

 

戦国時代の堺についての知識があれば、正答を導き出しやすいのは確かですが、資料の読み取りだけで解ける問題です。こうした問題が日本史の知識や歴史的思考力を試すのにふさわしいかどうかは、これから議論されていくものと思われます。

 

この問題の期待値は次のようになります。

 

【期待値表 解答番号4】

 

資料読める

資料読めず

用語習得せず

1

0.25

基本用語習得

1

0.5

標準用語習得

1

0.5

その他の必要用語習得

1

0.5

 

 

【期待値表 累積】

 

資料読める

資料読めず

用語習得せず

2.25

1

基本用語習得

3.25

1.75

標準用語習得

3.25

1.75

その他の必要用語習得

4

2.25

 

以下の拙著では、センター試験でも同様の調査をしていますので、これからの調査結果とそちらと比較してみれば、『一問一答』という指標を用いて、センター試験に必要な知識レベルと共通テストに必要な知識レベルがどれだけ変化したのかが明らかになっていくことでしょう。 

 

 

 【お知らせ】

Amazonで電子出版しています
 
 
Youtube版「のぶたの誰も得しない日本史 」