誰も得しない日本史

誰も得しません

共通テスト難易度考察 H29試行調査06

H29試行調査の問題文はこちら(32Mと重いです)

大学入試センター

 

このシリーズの基本コンセプトは、こちらをご参照ください。

www.daremotokushinai.com

 

解答番号6

邪馬台国畿内説の立場に立って、四世紀における、近畿地方の勢力の様子を答えます。邪馬台国畿内説とは邪馬台国から大和政権は連続しているという立場ですので、受験者は大和政権に関する知識を用いて、①~④の選択肢から適当なものを選ばなければなりません。

 

選択肢は、

① 近畿地和の勢力は力を弱めたので、五経博士を招いて統治方法を学んだ。

② 近畿地方の勢力は力を弱めたので、関東の勢力が政治的な中心となった。

③ 近畿地方の勢力が力を強め、仏教の信仰を中心とする政治的統合を進めた。

④ 近畿地方の勢力が力を強め、墳墓や祭祀の形式をともにする政治的統合を進めた。

です。

 

〔解答番号6〕の最短手順は、

①選択肢を検討して適当なものを選ぶ、

となります。

 

ただし、『一問一答』の暗記だけでは選択肢を絞り込みにくいので、明らかに消去できる選択肢を消してから、残りの選択肢の妥当性を比較するという、2段階の手順を経たほうが解きやすいでしょう。

 

まず、知識で消去できる選択肢を探しましょう。五経博士(その他の必要用語)の渡来は6世紀初めなので、『一問一答』でその他の必要用語まで学習していれば、①を消すことができます。仏教の公伝も6世紀のことで、『一問一答』では、仏教公伝に関わる「聖明王」「欽明天皇」や、年号に関わる問題は標準用語となっています。基本用語だけでは①も③も消去できません。

次に、②と④の妥当性を比較します。『一問一答』の、「ヤマト政権」(標準用語)の問題文は次のとおりです。「出現期の古墳の分布などから、4世紀ころまでに大和地方を中心とする政治連合が形成されたと考えられている。この政治連合を何というか。」この知識があれば、②よりも④のほうが妥当であることを導くことが可能です。

 

知識だけで解くことを前提に、以上をまとめると、

基本用語まで暗記していてもこの問題は解けません。期待値は0.25です。

標準用語まで暗記していれば、③を消去したうえで、②までは消去できるので、期待値は0.5となります。

その他の必要用語まで暗記していれば、①③を消去したうえで、④を選択できるので、期待値は1です。

ただし、実は、この問題の正答率はかなり高いです。なんと78.7%でした。今回の試行テストの問題のなかでは2番目に正答率が高い問題だったのです。かつて拙著で考察した、受験者の知識レベルとセンター試験の得点の期待値の関係を鑑みると、少し上方にブレているなあという印象です。

想像するに、受験者は参考文から近畿地方の勢力が4世紀に弱まることには違和感を感じて①②を消去して、およその時代感覚で、③よりは④が妥当だろうと考えたのでしょう。3~4世紀が古墳時代の前期にあたることを知っていれば、それなりに自信をもって答えられるかもしれません。

入試センターが公表している、この問題で問いたい能力は「資料から読み取った情報や習得した知識を活用して、歴史的事象の展開について考察することができる。(推移や変化)」です。(3~4世紀が古墳時代の前期にあたるという基礎知識が身についていることが前提ですが、)資料から読み取った情報があれば解ける問題としておきます。すこし違和感も残りますので、この問題は、いずれ再検討する可能性があります。

 

この問題の期待値は次のようになります。

 

【期待値表 解答番号6】

 

資料読める

資料読めず

用語習得せず

1

0.25

基本用語習得

1

0.25

標準用語習得

1

0.5

その他の必要用語習得

1

1

 

 

【期待値表 累積】

 

資料読める

資料読めず

用語習得せず

3.5

1.5

基本用語習得

4.5

2.25

標準用語習得

4.5

2.5

その他の必要用語習得

5.25

3.5

 

 

以下の拙著では、センター試験でも同様の調査をしていますので、これからの調査結果とそちらと比較してみれば、『一問一答』という指標を用いて、センター試験に必要な知識レベルと共通テストに必要な知識レベルがどれだけ変化したのかが明らかになっていくことでしょう。 

 

 

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