誰も得しない日本史

誰も得しません

共通テスト難易度考察 H29試行調査13

H29試行調査の問題文はこちら(32Mと重いです)

大学入試センター

 

このシリーズの基本コンセプトは、こちらをご参照ください。

www.daremotokushinai.com

 

解答番号13

以下の3枚のカードを参考にして、ア~ウ3つの仏堂の形式を時代順に並べるものです。

 

カード1:「国家の安定を目的とした仏教であったので、僧侶だけが仏堂の中で読経した。」

カード2:「民衆を救済する仏教が成立し、信者が一斉に集まって祈る場としての仏堂が作られた。」

カード3:「仏の加護を願って、一定期間仏堂にこもる習慣が貴族の間に広がっていった。」

 

 

受験生の知識にない仏堂の図だけを眺めていても、時代順には並べようがないので、この問題の最短手順は、次のようになります。

 

①カードを年代順に並べる。

②それぞれのカードに対応する仏堂の図を選び取る。

 

まず、奈良時代の仏教が国家の安泰を祈願する国家仏教であり、それを「鎮護国家」(標準用語)とよぶので、カード1は奈良時代のことです。

カード3は平安時代後半の国風文化期の浄土教(基本用語)の話題ですが、平安時代の浄土教は貴族には広まっていても、庶民には広まっていないことは、『一問一答』の暗記だけでは分かりません。

カード2は鎌倉(新)仏教のことです。『一問一答』では、「鎌倉仏教」(その他の必要用語)の説明文に「武士・庶民を対象とした」とあり、「易行・選択」(その他の必要用語)では「どんな階層の人でも」とあります。また、親鸞(基本用語)の説明文には「武士・農民に不況した」と、一遍(基本用語)には「すべての人々が救われる」とあり、日蓮(基本用語)にも「すべての人々が救われる」とあります。

よって、基本用語の知識があれば、カード3よりもカード2のほうが時代が新しいことが分かります。よって、カードの並べ方の候補は1→3→2と、3→2→1の2つに絞り込むことができます。

さらに、標準用語の知識まであれば、カードを1→3→2と正しく並べることができます。

 

カードの文章の中で、「僧侶だけが」(カード1)、「貴族」(カード2)が、「信者が一斉に」(カード2)仏堂に入ったことに注目できなければなりません。これが第1の読み取りです。次に、仏堂の図を見て、仏像が置かれるスペースと、人間が祈りをささげるスペースの割合の違いに着目します。多くの人間を入れるには広いスペースが必要だという推測から、カード1→3→2と時代が下るに従って、人間用スペースが広がっていくのだろうと推測して答えを選び取ることになります。

受験生の推測が当たれば、カードと図の組合せを確定できますが、推測が的を射ないと六者択一のままとなってしまいます。

 

①が一応知識だけで解けるとはいえ、現実には仏教史の流れを理解しておかなければ解きにくいであろうし、②も簡単ではありません。しかも最悪なことに、①の仏教史の流れをしっかりと理解していて、しかも難しめの知識までも覚えていても、②の推測がはずれれば選択肢をまったく絞り込むことができません。それゆえに、知識でも理解でも期待値を上げることができないんです。こういう問題でいいんでしょうかねえ。。。入試センターさん。。。結果、この問題の正答率は、28.9%と非常に低くなっています。

 

この問題の期待値は次のようになります。

 

【期待値表 解答番号13】

 

資料読める

資料読めず

用語習得せず

0.17

0.17

基本用語習得

0.5

0.17

標準用語習得

1

0.17

その他の必要用語習得

1

0.17

 

 

【期待値表 累積】

 

資料読める

資料読めず

用語習得せず

7.12

3.12

基本用語習得

10.1

4.27

標準用語習得

11

4.92

その他の必要用語習得

12.25

6.17

 

以下の拙著では、センター試験でも同様の調査をしていますので、これからの調査結果とそちらと比較してみれば、『一問一答』という指標を用いて、センター試験に必要な知識レベルと共通テストに必要な知識レベルがどれだけ変化したのかが明らかになっていくことでしょう。 

 

 

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