誰も得しない日本史

誰も得しません

共通テスト難易度考察 H29試行調査15

H29試行調査の問題文はこちら(32Mと重いです)

大学入試センター

 

このシリーズの基本コンセプトは、こちらをご参照ください。

www.daremotokushinai.com

 

解答番号15

参勤交代(基本用語)の知識を前提に、問題文に登場する佐藤さんの仮説を検証して、「成り立たないもの」を選びます。佐藤さんがいくつかの資料をもとに立てた仮説(選択肢)は以下のようになります。

 

①江戸文化に親しんだ生活は、藩邸の出費を増加させ、財政が悪化したのではないか。

②幼少時より江戸住まいが長いので、大名や嫡子の交流が盛んになったのではないか。

③享保の改革の政策である上げ米の制は、大名には喜んで迎えられたのではないか。

④廃藩置県が実施される際、知藩事であった旧大名は東京集住に大きく抵抗しなかったのではないか。

 

この問題の最短手順は、次のようになります。

①佐藤さんが参考にした資料から、大名が国元よりも江戸に居住したがっていたことを読み取る。

②①の結果と矛盾する選択肢を探す。

 

①ですが、大名が江戸を好きかどうかと出費の問題は別なので、成り立つとも成り立たないとも言えません。

②も、成り立つとも成り立たないとも言えません。

③ですが、『一問一答』では、大名から米を上納させる「上げ米」は基本用語ですが、その内容である「参勤交代の大名の在府を半減する」ことは、その他の必要用語として問われています。大名にとって、上げ米とは、大好きな江戸にいる時間が短くなることを意味します。よって、大名が国元に長くいる政策を喜んで迎えたという③の仮説は、佐藤さんが調べた、大名が江戸好きであるという資料と矛盾することになり、仮説としては成り立たないことになります。

④は、廃藩置県(基本用語)の知識がなくても、資料の読み取りで、成り立つとも成り立たないとも言えない、ということができます。

 

③の正誤判定には、その他の必要用語の知識が必要ですが、①②④の判定から消去法で正解へとたどり着くことは可能です。終わってみれば、知識が必要ない問題でした。

 

本来は、資料を読み取ったうえで、その他の必要用語レベルの知識まで身につけておかなければ解けない問題なので、難しくなりがちな問題形式です。ただ、本文は資料の読み取りが平易なうえ、消去法でもいけるため、正答率は49.3%と、そこそこの数値になっています。

 

この問題の期待値は次のようになります。

 

【期待値表 解答番号15】

 

資料読める

資料読めず

用語習得せず

1

0.25

基本用語習得

1

0.25

標準用語習得

1

0.25

その他の必要用語習得

1

0.25

 

 

【期待値表 累積】

 

資料読める

資料読めず

用語習得せず

8.32

4.2

基本用語習得

11.44

5.61

標準用語習得

12.5

6.42

その他の必要用語習得

13.75

7.67

 

以下の拙著では、センター試験でも同様の調査をしていますので、これからの調査結果とそちらと比較してみれば、『一問一答』という指標を用いて、センター試験に必要な知識レベルと共通テストに必要な知識レベルがどれだけ変化したのかが明らかになっていくことでしょう。 

 

 

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