誰も得しない日本史

誰も得しません

共通テスト難易度考察 H29試行調査31

H29試行調査の問題文はこちら(32Mと重いです)

大学入試センター

 

このシリーズの基本コンセプトは、こちらをご参照ください。

www.daremotokushinai.com

 

解答番号31

1955年度から1985年度までの、食料自給率の表を参考にして、以下の選択肢から正しいものを2つ選びます。選択肢の組み合わせの関係で、実質的には、a・bの二者択一とc・dの二者択一となります。

 

a 外国産果物の輸入自由化が広がり、身近な食品となっていった。

b 輸送手段の発展で、水産物は輸入に大きく依存するようになった。

c 食生活の変化により、洋食関連品目の輸入が増えた。

d 専業農家が大きく減少し、輸入米が増加した。

 

aですが、表を読み取れれば、果物の自給率は下がっているので、外国産果物が身近なものとなったことが推測されます。『一問一答』の標準用語として、牛肉とオレンジの自由化が1988年であることはありますが、1985年以前に「輸入自由化が広」がったのかどうかは分かりません。

bですが、『一問一答』の基本用語に「東海道新幹線」が、その他の必要用語に「名神高速道路」や「モータリゼーション」があるので、知識によって輸送手段が発展したことは分かります。しかし、知識だけでは水産物の輸入状況は分からないので、表を分析しなければなりません。表によると、1985年に至っても、魚介類の自給率は90%以上を保っているので、「水産物は輸入に大きく依存するようになった」とは言えないでしょう。

以上のように、aとbは知識では解けず、資料の読み取りによってのみ解くことができます。

 

c・dも似たようなものです。知識だけでは解けません。表では米の自給率が100%を超えているので、dの「輸入米が増加した」が不適切であることは推測できるでしょう。

 

【期待値表 解答番号31】

 

資料読める

資料読めず

用語習得せず

1

0.25

基本用語習得

1

0.25

標準用語習得

1

0.25

その他の必要用語習得

1

0.25

 

 

【期待値表 累積】

 

資料読める

資料読めず

用語習得せず

14.82

7.77

基本用語習得

22.31

12.76

標準用語習得

23.58

13.57

その他の必要用語習得

26.75

16.39

 

 

以上のように、平成29年試行調査の期待値が導き出されました。

平成29年の試行調査は100点満点ではないので、配点はありません。

そこで、すべての問題の配点が均等だったとして、上記の期待値を100点満点に換算してみましょう。
 

【期待値表 累積 100点満点換算】

 

資料読める

資料読めず

用語習得せず

47.81

25.06

基本用語習得

71.97

41.16

標準用語習得

76.06

43.77

その他の必要用語習得

86.29

52.87

 

私が以前に算出した、ここ数年のセンター試験の期待値との詳しい比較は、後日に行います。
今回のデータから今言える、おおまかなポイントは3点です。
 
①受験生が資料をすべて読み取れたとしても、共通テストでは、センター試験よりもおよそ5点ほど低くなります。
その他の必要用語まで暗記していても、資料が読み取れなければ52点にしかなりません。
センター試験では標準用語まで習得しておくのが最も点効率がよかったけれども、共通テストでは標準用語習得の点効率が極端に悪くなっている。
 
上の②と③が特に重要です。
②は、センター試験のときと異なり、難関私立大学向けの勉強では共通テストには通用しないことを示しています。これは、なんとなく感じていた指導者も多いことでしょう。
③は、きちんとデータをとったからこそ見えてきたことです。すぐに結論はでないのですが、生徒さんを指導する方針や、テキストの選定方針に大きな影響を与えてくる要素です。
 
 
次回からは、平成30年の試行調査のデータをとっていきます。
また、次の、すなわち最後のセンター試験が終わったら、センター試験のデータもとります。
そして、以前にとったセンター試験のデータを、共通テストと正確に比較できる形に改良して、新たな比較と考察を行いたいと思います。
 
 

以下の拙著では、センター試験でも同様の調査をしていますので、これからの調査結果とそちらと比較してみれば、『一問一答』という指標を用いて、センター試験に必要な知識レベルと共通テストに必要な知識レベルがどれだけ変化したのかが明らかになっていくことでしょう。 

 

 

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