誰も得しない日本史

誰も得しません

センター試験 難易度検証

以下、2018年1月記事より(引っ越し分)

 

2018114日記事

 

センター試験が終わりました。各社さまざまな速報などを発表しています。

このブログでは、そうしたものとは少し異なるやりかたで、今年のセンター試験と今後の対策を解説していきたいと思います。

 

センター試験では、知識の量ではなく基本的な知識が問われます。

基本的な知識を正確に理解しておくことが重要です。

 

と言われますが、具体的にはどのくらいの点数が取れるのでしょうか。

センター試験が終わったこの機会に、上のことを検証しつつ、基礎的な知識を整理して、私大入試や二次試験などに備えましょう。

 

使用するものは、山川出版社の『山川一問一答日本史』です。

この本には、約4590問の用語問題が収録されています。

 

問題は3つのレベルに分かれていて、

基本用語は約1980

標準用語は1360

その他の必要用語は1250

あります。

 

4500!!

気の遠くなるような数ですね。

もちろん、このなかには難関私立大学でたまに出てくるだけというものも多く含まれています。

そのような細かい知識は、センター試験では問われません。

 

そこで、試しに、基本用語の知識だけを覚えていたら、今年のセンター試験は何点とれたのかを、今日から検証していきたいと思います。

基本用語だけなら、1日10個覚えていけば、約200日、7ヶ月かかりません。

4月から始めても10月中に日本史の勉強を終えることができます!

1日10個なら、十分な余裕をもって学習を進めていけますよね。

 

 

検証の過程で問題に関わる知識を整理して、解説していきますので、

毎回読んでいけば、二次試験・私立大学・定期試験対策にもなると思います。

 

今日は第一問(空欄1)をみておきましょう。

次回からは、数問ずつ取り扱うかもしれません。

 

 

空欄1は、埼玉県稲荷山古墳出土鉄剣銘についてです。

 

以下の、二つの文章の正誤が問われました。

 

X 史料には、「獲加多支鹵の大王」の役所(朝廷)が「斯鬼の宮」にある時、「乎獲居の臣」は、大王が天下を治めることを助けたことが記されている。」

Y 史料にある「獲加多支鹵の大王」は、熊本県の江田船山古墳から出土した鉄刀銘にある人物と同一とみなされる。」

 

両方とも正しいです。

では、この問題は基本用語の知識だけで解けたのでしょうか。

 

Xですが、

問題に載せてある史料を読解して解く問題なので、問題の史料の3~4行目を読めば分かるようになっています。

 

Yですが、『一問一答』では、稲荷山古墳出土鉄剣は標準用語に分類されており、江田船山古墳出土鉄刀は、その他の必要用語に分類されています。さらに、それらに登場する獲加多支鹵が同一人物であるかどうかに関しては言及されていません。残念ながら、『一問一答』の問題だけを覚えているだけでは、Yの正誤を判断することはできませんでした。

 

ということは、

空欄1については、基本問題だけを学習していれば、二者択一にまではもっていけますね。

配点は3点なので、この問題の期待値は1.5点ということになります。

 

全問二者択一にもっていければ、50点とれるという計算ですよね。

全問四者択一のままだと、期待値は25点。

半分わかって、残り半分を二者択一にもっていけば、期待値は75点です。

 

 

なお、『宋書』倭国伝に登場する倭王武と、『日本書紀』に出てくる雄略天皇、そして稲荷山古墳出土鉄剣銘の「獲加多支鹵の大王」と江田船山古墳出土鉄刀銘にある人物はすべて同一人物です。

すべて五世紀のこと。古墳時代中期ですね。

 

 

このような感じで、一問一答のどこまでを勉強すれば、センター試験でどのくらいの点数が取れるのかを、今後みていきたいとおもっています。

 

 

2018115日記事

 

前回の記事の続きです。

空欄2です。
四枚の図・写真に関する説明の正誤が問われました。

正しいものを選択する必要があります。
選択肢は
「東大寺領糞置荘開田図」では、条坊制にもとづく土地区画のための線が引かれている。
「伯耆国東郷荘の下地中分図」では、荘園領主同士が和解し、幕府の関与のもと下地中分が成立した。
「検地仕法」では、奉行が役人や村役人らを監督し、検地を行っている。
「地券」では、土地所有者・土地面積・収穫高などがそれぞれ記されている。

は奈良時代の開墾に関かかわる図ですが、「条坊制」とは都城(平城京など)の土地区画であり、田地の土地区画は「条里制」です。
この選択肢は誤りですが、条坊制も条里制も基本用語ではなく、標準用語となっています。
よって、この選択肢は保留となります。


の下地中分は、荘園領主と地頭との紛争解決策です。
よって、この選択肢は誤りです。
下地中分は基本用語なので、判別できます。

の検地ですが、図を見れば正解だと分かります。
検地役人を派遣した、豊臣秀吉の太閤検地は、もちろん基本用語です。
豊臣秀吉以前の戦国大名が行った、役人を派遣せずに自己申告させる指出検地も基本用語です。
よって、を保留していても、基本用語の知識で、が正しいことが分かります。

写真を見れば、収穫高が記されていないことが分かります。
よって、この選択肢は誤りです。
地券も基本用語です。地券には土地所有者名や土地面積、そして地価が記されています。

よって、この問題は基本用語の知識だけで解けます。
配点は3点なので、3点ゲットです。


空欄3です。
衣装などの風俗が問われました。

4つの選択肢から、正しいものを二つ選択する必要があります。
選択肢の組み合わせ上、以下の
a,b
のうちどちらかが正解で、どちらかが間違いです。
c,d
のうちどちらかが正解で、どちらかが間違いです。

a
:平安時代には、束帯や衣冠が宮廷女性の正装となった。
b
:戦国・安土桃山時代には、女性の普段着として小袖が一般化した。
c
:江戸時代には、生地に華やかな模様を表す友禅染が流行した。
d
:明治時代には、モボとよばれる男性が繁華街を闊歩した。

a
は、束帯も衣冠も男性の正装なので、誤りです。
束帯のほうが正装度が高く、衣冠は束帯の略装です。
束帯は基本用語で、衣冠は標準用語なので、正誤を判別できます。

b
は、aが判別できたので、消去法で正文と判別できます。
なお、小袖は基本用語で、男も女も着ました。

c
の友禅染(宮崎友禅)は、基本用語です。
よって、正文。

d
のモボは一問一答に載っていませんが、大正文化のモガがモダンガールの略だと知っていれば、想像できるでしょう。
モガはその他の必要用語ですが、cの時点で消去法ができています。

よって、この問題は基本用語の知識だけで解けます。
配点は2点なので、2点ゲットです。


ここまでの三問で、8点満点中、期待値は6.5点です。
いいペースです。

 

2018117日記事

 

空欄4は、
空欄補充問題です。
以下の空欄を埋めます。

「明治政府は、……殖産興業を推進して[ ア ]をはかりました。」
選択肢は、「富国強兵」と「民力休養」です。

「院政期には、白河上皇も行った[ イ ]がさかん……
選択肢は、「熊野詣」と「伊勢詣(伊勢参り)」です。

[ ア ]の選択肢は、「富国強兵」と「民力休養」です。明治政府が殖産興業を推進するときの目標である、富国強兵はかなり基本的な用語ですが、『一問一答』にはありませんでした。意外な感じです。「殖産興業」は基本用語として載っていますが、富国強兵を用いずに説明してあります。「民力休養」は、政費節減と並んで第一議会における民党のスローガンです。「民力休養」は標準用語になります。センター試験に限らず、近現代のスローガンは頻出です。よって、[ ア ]は二者択一のままとなってしまいました。

[ イ ]の選択肢は、「熊野詣」と「伊勢詣(伊勢参り)」です。「熊野詣」は紀伊国の宗教的聖地へ参詣することですが、標準用語です。「伊勢詣(伊勢参り)」についても、「伊勢神宮」や「御蔭参り」といった標準用語の説明文を読まないと分かりませんでした。残念ながら、[ イ ]も二者択一のままです。

以上により、基本用語だけでは四択から絞り込むことはできませんでした。
よって、当たる確率は四分の一。
配点は2点なので、期待値は0.5点です。


空欄5は、
生産・流通にか関する正誤問題。
以下の選択肢から、誤文を一つ選びます。

平安時代には、輸入品が唐物として珍重されるようになった。
鎌倉時代には、問(問丸)が商品の運送にかかわった。
室町時代には、地方で見世棚が普及し、市場の市日が減少した。
江戸時代には、肥前で磁器がさかんに生産され、海外へ輸出された。

は、研究史的には重要で、論述試験などを受験する人は必ず抑えておかなければなりません。
遣唐使が廃止された後も、民間の交易は盛んであり続けたという、重要テーマです。
ただし、一問一答では唐物は室町時代にしかでておらず、しかもその他の必要用語に分類されています。
よって、この選択肢は保留となります。

の問(問丸)は、標準用語です。
この選択肢も保留ですね。

では、見世棚は標準用語ですが、三斎市も六斎市も基本用語です。
鎌倉時代は月三回の三斎市で、室町時代は月六回の六斎市なので、市日は増えたことが分かります。
よって、が保留でも、これが誤文だということが判別できます。

は消去法で正文と分かります。
なお、肥前の磁器といえば、酒井田柿右衛門が赤絵の技法を創始した有田焼(伊万里焼)ですね。
「酒井田柿右衛門」・「赤絵」・「有田焼」、すべて基本用語です。
現在の酒井田柿右衛門は、さらに色使いがキレイになっているので、ぜひ画像検索してみてください。


よって、この問題は基本用語で解けました。
配点の3点ゲットです。


空欄6
地図問題。
1906
年における日本とロシアの境界と、関東都督府の位置が問われました。

上の地図のa,bから日本とロシアの境界を、c,dから関東都督府の位置を選びます。

日露戦争(1904-05)後のポーツマス条約で、北緯50度以南の樺太を割譲されたことは、基本用語です。
また、そもそも1906年は1910年の韓国併合より前なので、bに日露の境界があることはありえません。
まずはaが正解。

次に、旅順に置かれた関東都督府も基本用語です。
旅順・大連は遼東半島なので、正解はd

この問題も基本用語で解けました。
配点の3点ゲットです。

以上、大問一のBの三問の期待値は6.5点。
ここまで、16点満点中、期待値は13点です
いい感じですね。

 

【追記】

いかかでしたでしょうか。

このまま最後まで解いたときの期待値や、センター試験の勉強の仕方については、拙著『センター試験最短距離へのハンドブック』にまとめています。また、2019年度分も上記の記事の翌年に検討して、その結果は拙著『センター試験の難易度考察』としてAmazonで出版しています。

ぜひご参照いただけると幸いです。

 

 

次回の、そして最後のセンター試験ももちろん検証します。

そして、その検証結果をもとに、今後共通テスト(新試験)に必要な用語レベルを検証していきたいと思います。

今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

 

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